第８回演劇フォーラム：あおいの感激日記：SSブログ

	ブログをはじめるログイン

第８回演劇フォーラム　[歌舞伎] [編集]

081124_1008~0002.jpg 国立劇場で開催された『第８回演劇フォーラム
「乱歩が歌舞伎になった」』を観てきました。
三部構成で休憩なしの二時間でした。

第一部：国立劇場　新作歌舞伎の取り組み
　　講師＝織田紘二
第二部：江戸川乱歩の世界
　　講師＝山田五郎
第三部：座談「乱歩が歌舞伎になった」
　　お話＝松本幸四郎　市川染五郎
　　　　　　鳳　蘭　　岩豪友樹子
　聞き手＝大和田文雄

【第一部】

織田氏の話を聞いていて
「国立劇場は意外に新作歌舞伎が多かったんだ！」
と思いました。
国立劇場では歌舞伎脚本の一般公募を行っていて
今回の作品で脚色を担当された岩豪友樹子氏は
一般公募で過去に三度の入選した経験がある歌舞伎作家の方です。

【第二部】

山田五郎さん、流石にトーク慣れしています。
出てくるなり、「真っ暗な舞台袖で出番を待つなんて初めての経験ですがコワい！」
と言う話で笑いを取り客席の掴みはOK状態でしたね。
「僕は乱歩の専門家ではない」と言いつつも、今回の歌舞伎になるという事で
改めて作品を読みなおしたり、乱歩さん自身についてだけではなく、
彼が生きた時代の事も交えて五郎さん流に紹介してくれました。

なんだか乱歩だけでなく、彼が生きた時代に少し興味が出ましたねぇ。
五郎さん曰く「今の時代と乱歩の時代は何処か似ている」そうで、
乱歩歌舞伎はタイムリーだったのかもしれません。

話の中で歌舞伎も乱歩もあり得ないものが出てくる点が良く似ていると言ってました。
今回の人間豹も人間＋豹・・・しかも何の説明もなく登場するし
歌舞伎の児雷也なんて突然ガマ・・・そういう意味では共通点がある。
最初は乱歩が歌舞伎？と思ったけど、これはイケるかもと思いはじめ
完成した舞台を観たら「面白いじゃん」だったそうです。
私も最初は「え～～～っ」と思ってたけど、観たら凄く面白いしカッコイイ。
歌舞伎チャンネルで放送して欲しいなぁと今から思っています。

【第三部】

なんせお話好きの幸四郎さんです。
染様の話の途中で割り込んでみたり、質問内容を忘れてしまったり
ちょっと怖い話をしてくれたりとナチュラルに笑いを取っておられました。

今回、乱歩を歌舞伎にと言いだしたのは染五郎さんですが、
それを受け止めたのが幸四郎さんと国立劇場です。
大和田さんは乱歩は知っていたけど作品を知らず、染五郎さんの話が聞き取れなかったと言い
幸四郎さんは歌舞伎にならない所をそぎ落とした結果シュールが残ったと言われました。
脚色の岩豪さんは８回の書き直したそうです。
幸四郎さんは二人のセリフ対決を盛り込んで小五郎ｖｓ人間豹にしたかったんだそう。
確かに、最後の小五郎と人間豹の対決は見所だったし、
割り台詞になっていることで歌舞伎らしさが出ているのかもしれませんね。

幸四郎さんが染五郎さんを褒めていたのは最初の新内。
幸四郎さんとしては現代音楽を使ったら歌舞伎じゃないと思っているそうで
義太夫、常磐津、長唄・・・と考えていた時、染五郎さんが「新内が良い」と言ったそうで
これには「そうか新内か！」と思ったと同時に「流石だ」と思ったそうです。
今回の座談でも「染五郎の凄い所は・・・」とこの話をされていました。
染五郎さん、誉められてちょっと恥ずかしそうな感じに見えましたね。
確かに、この新内がハマってるんですよねぇ。

染五郎さんはワイヤーアクションを行ってますが、ロープを引く側と
染五郎さんの息が合わないとケガに繋がるし、
ワイヤーアクションに使うハーネスが凄い締め付け感があるそうで
付けたまま芳之助を演じて居る間なんか養成ギプス状態だと話されていました。
サラッと話をしてますが相当辛いと思うんですよね。

今回の乱歩歌舞伎は国立劇場の機能をフル活用していて
それが見られるのが洞窟→浅草奥山の見世物小屋→見世物小屋の屋上。
国立劇場の奈落は凄く深くて、三層構造の舞台が可能なんですね。
何個かに分割可能なセリが複数あるので組み合わせによって色々なバリエーション可。
歌舞伎座では出来ない演出もココは可能なこともあり新作が多いのかもしれません。
乱歩歌舞伎は国立ならではの作品になるかもしれませんね～。

短い時間でしたが、いろいろな方々から乱歩や乱歩歌舞伎に関する話が聞けました。
幸四郎さんは「フォーラムなのに討論になってないんだけど・・・」なんて言ってましたけどね。
演劇フォーラムは宝塚中心だったりするんですが、また歌舞伎を取り上げて欲しいです。